工業高校に通うという価値観について その進路に後悔しないために

この記事では、工業高校に通ったことを非常に後悔している私が、現在中学生の方や、中学生のお子さんをお持ちの方に向けて工業高校に通う利点・欠点を整理し、記載していきたいと思います。長文注意です。
SNSの工業高校推しに惑わされないために
昨今AIの発達が急速化して以降、ホワイトカラーを下げてブルーカラーの仕事を持ち上げられるネット記事やSNSでの呟き等をよく目にしたり、耳にしたりすると思います。これらの情報はブルーカラーとして働いた経験もあり、工業高校を卒業した私からは過度に一般化されている印象を受けます。したがって、そのような情報に惑わされて一個人の人生が台無しにならないよう、誰かにこの記事を読んで実情を知ってほしいです。
工業高校へ通った経緯と簡単な自己紹介
私は地方工業高校出身で、最終学歴は高卒、卒業学科は電気科で、保持している資格は第二種電気工事士のみの人間です。
中学校は市立のナンバースクールであり全校生徒が1,000人規模の学校に通っていました。中学生の時の成績はいたって普通ですが、下から数えた方が早いくらい、英語だけは授業もうわの空で、基礎で躓き成績が悪かったです。これは非常に後悔しています。
進学校や普通科の高校に合格できる能力はなく、数学の得点が2倍に換算されるという工業高校電気科を受験しました。加えて、仮に普通科に進学することを検討しても、「大学には就職して自分のお金で通いなさい」という教育方針・家計だったため、工業高校に通うのは既定路線でした。近所には商業高校もあり、社会人になった今となっては、飯を食うには簿記の方が役に立つのではないかとも思わなくもない(商業高校でやるのは全商簿記らしい)ですが、兄弟はみな工業高校か情報系の学科に通いました。つまり、高卒就職が既定路線の家庭でした。就職のことを考えて社会的に需要が見込まれる電気科を選択したということもあります。
私が通った工業高校は、電気科でみんこう偏差値47の学科なわけですが、しかし、立地的に市内に他の工業高校がないために、就職には有利と先生方は仰っていました。これはまったくその通りだったと思います。私の高校では、1年生時だったか2年生初めの時期だったか忘れてしまいましたが、第二種電気工事士はほぼクラス全員が合格するようなイメージでした。そして、挑戦したい生徒が、第一種電気工事士や第三種電気主任技術者試験に挑戦する、という感じでした。私は第一種電気工事士に挑戦しましたが、地方では当該県内で試験が開催されないこともあり、近くの栄えた都市である仙台に牛タンを食べに行くような思考だったため筆記で普通に落ちました。これも非常に後悔しております。工業高校には3年間きっちり通って、卒業しました。

ここまでをまとめると、基本的に貧乏な家庭の子が多いというのは知られてもいい実情かと存じます。もちろんそうではない子もいますが、普通高校に入学して大学受験を目指さない子と同様、高卒で働きに出ないと生きていけない子が混じっているということです。つまり、その進路を希望した、というよりはその進路しか取り得なかった子も多いです。大人になると、私のようにこの辺のコンプレックスで拗らせてしまうパターン(ヒトは若い頃に手に入れられなかったものに執着する説)に陥りかねません。
就職について
工業高校にしか通っていないので、他の高校生(主に普通科の方)が寧ろどう就職内定を勝ち取っているのか存じ上げませんが、工業高校では「進路指導室」に企業からの求人票が紙ベースで管理されたファイルがあり、そこから希望の求人があれば、両親と相談して担任や進路指導に詳しい先生に申し込んで、企業とコンタクトを取ってもらうというスタイルだったと記憶しております。そのため、「いい企業に入りたい場合には進路指導室に通いまくれ」「求人票を漁れ」という趣旨のことを先生がおっしゃっていたことは耳に残っています。
進路指導室は、学校ごとに違うと思いますが、私の高校は常駐した先生がいるわけではなく、勝手に求人票や、過去にその企業を受けた方の入社試験や面接内容がまとめられたファイルを閲覧できました。
私は料理人になりたかったので(いまとなっては意味不明ですが)、「新宿・つぼ八」の求人をコピーして両親にここに入りたいと言ったらめちゃくちゃ怒られ、「東京地下鉄株式会社」「小田急電鉄株式会社」のどちらかにしたら?という両親の提案もあり、そのときは素直に従い2社とも企業見学的なものに応募しました。
上記の親子喧嘩により、東京地下鉄様の企業見学への申し込みが遅れてしまい、私1名に対して、社員様が1名付いて、各職場を東京メトロにただで乗って回る、というVIPのような対応をしていただきました。その節はありがとうございました。銀座線の第三軌条の説明を現場の偉い人から受けたことを今でも覚えています。
小田急電鉄様では、相模原で、手動のタイタンパ(レール下に敷設されているバラストを締め固める作業につかうもの)でガッガッガとバラストを締め固める体験や、電車線(パンタグラフが接する電線のこと)の保守作業につかう保守用車に乗せていただいたりしました。
ここで初めて、他高校の工業科なのかなんなのかよくわからん同級生に会う、社会と接する体験をしました。ああ、社会人ってこういう感じか、とその時実感したことを強く記憶しております。
そして無事に、鉄道会社から内定をいただきました。入社数年後に本社異動の辞令を受け、企業見学案内をしてくださった社員さんと本社で顔を合わせることとなります。あれ、社会は意外に狭いんだなと思った瞬間でした。この感覚は言語化が難しいですが、その後の人生でベースとなっています。人間関係は、突然に点と点が繋がったりするものだなぁと思いました。
工業高校と大学の就活の違い
さて、上記まで長々と就職までの経緯を記載しましたが、工業高校では企業様から内定をいただいた時期が、確か9月下旬頃だったと記憶しております。私は大学・大学院に通っていないため、内情は詳しくありませんが、中には50社近く面接にいったりするという噂も伺いました。しかしながら、少なくとも私の通っていた工業高校では1社目の応募でほぼクラスメイト全員が内定を取る、1社目の内定が取れないと担任の先生の顔色が悪くなるというイメージで、2社目を応募するのは1社目が残念ながらお祈りだった方のみ、という感じです。そしてここが非常に重要なのですが、工業高校の就職活動は一人一社制です。
電気科のクラスメイトで3社目に応募する人間は1人もいなかったと思います。つまり、工業高校が入学を検討している生徒に対して就職内定率100%(この言い方は大げさですがクラスメイト全員が就職か大学進学するという意味)と言っている場合は、少なくとも私の高校では真であり、他工業高校に関しても真の可能性が高いです。他学科はどうなんだ、と思うかも知れませんが、卒業時に進路が決まっていない人間はいなかったのではないでしょうか。少なくとも部活動のチームメイトはみんな就職内定しておりました。
就職内定後(個人談)
これは私たちの同級生のみに共通する特別な事情ですが、高校卒業、3月から新社会人となる4月まで自宅待機期間で、もはやニート同然の、こたつとみかんとドラクエがあれば優勝できる素晴らしい生活(これが人生で最後のモラトリアムとなる)が送れるわけですが、その月の11日14:46にグラグラと世界が揺れ始めました。
後にこれは「東日本大震災」と命名されることになるわけですが、同級生はみな未曾有の災害の中、それぞれの進路に進んでいきました。これはわれわれ同級生の価値観を意識的か無意識的かは問わず、大きく変えたはずです。
私も、内定企業から無事かどうか確認の電話や、入社時に用意する書類の状態(提出書類を踏みつけて避難したのでぐちゃぐちゃになってしまった)の確認や、内定取り消しは無いから安心してくれという趣旨の電話を受け、落ち着きを取り戻したのを覚えています。
同期には同じ東北出身で、多くは語りませんでしたが被害が大きく、7月入社となった方もいました。私は、親と一緒にスーツを1着だけ地元で買って、着の身着のまま上京したことを覚えています。当時、事情を察して東北出身の内定者を早急に寮に入れてくださった会社には大変感謝しています。たしか新幹線が東京駅や上野駅まで走っておらず、高速バスで新越谷まで行き、そこから東京へ向かいました。

工業高校に通うメリット
さて、本題の工業高校に通うメリットについてですが、下記に整理します。
- 資格取得を目指せる
- 資格試験用の設備がそろっている
- 就職先として大企業も視野に入る
- いじめが少ない
資格取得を目指せる環境で就職も強い
まず第一に、就職はほぼ間違いなくできるということに尽きるでしょう。工業高校は、確実に資格取得を目指す、手を動かす方法を学ぶ、入学が他高校に比べて簡単という点で利があるものと思います。資格は取得できますし、そのための設備(電気科で言えば電気工事士は技能試験があるため工具や練習用素材が必要になる)もそろっていることがほとんどだと思われます。
第二に、就職といってもどんな企業に就職できるかについてですが、これはおそらく進学する地域によって影響を受けることが経験的に予想できます。たとえば、愛知県の高校ならばトヨタ自動車株式会社様が強いかも知れませんし、静岡ならスズキ株式会社様に入れるかも知れません。私のクラスメイト(電気科)に限定した例でも、名のある大企業にポンポン入っていきました。具体的企業名はあげませんが、工業高校のHPに行くと、大体就職先が掲載されていることが多く、おそらく嘘ではありません。これは人生設計上大きなメリットになると思われます。
いじめがほぼない
そして第三に、工業高校は男子が多く、いじめは少ないです。なぜなら、ヤンキーは他高の不良と喧嘩に明け暮れ、そのエネルギーはわれわれクラスメイトには向かない、大体工業高校にはラグビー部があり、部員の方が強いかも知れないという恐怖等があげられます(休み時間に腕相撲するのは相手の力を推し測るためかと思われる)し、上記のように、そもそも陰湿な性質(誰がやってるかわからないけど不快な思いを繰り返すような)のものではないことが多いです。たとえば、陰湿に自転車をパンクさせられたと仮定しても、持ち主と別人がいたずらで南京錠をかけても、工業高校なのでその場でボルトクリッパーで切断し直せるでしょうし、パンクもおそらく直せます。よって、いじめに意味はないです。無効化されます。これは、学生生活という人格が完成する以前の生活を安定させる意味でもメリットかと思います。乱暴にいうと武器がその辺にあるので、いじめは少ないのかも知れません。また、専門科で3年間同じクラスなので結束も強くなりがちです。
工業高校に通うデメリット
工業高校に通うデメリットについてですが、下記に整理します。私が工業高校に通ったことを後悔しているため、デメリットの方が多く記載されていることをお許しください。
- 現場仕事が多い
- 終身雇用向きである
- 資格取得は実は普通高校の方が有利
- 一般教養は不足しがち
- 女子が少ない
上記のリストをご覧いただき、お気づきかも知れませんが、「工業高校に通う」ことそのものに対してはデメリットはほぼ無いと思われます。高校3年間は楽しいです。ただし、社会に出た後に、いわば「相対的に」デメリットが見えてくるような思いがあります。つまり、人生を生きるうえでの工業高校卒であることのデメリットともいえるかも知れません。
現場仕事が多い
第一に、現場仕事が多いことがあげられます。これはおそらくどの大企業に滑り込んでも同じだと思われますが、工業高校卒の人間は現場の戦力として迎えられており、工場や、保守、工事の監督など、基本的に現場配属です。そこで何が起こるかといえば、職人気質の人間に怒られ、手先の不器用な私のような人間は、かなり辛い思いをします。
実は、大企業に入るメリットは、それをやるのが大体下請け企業様であり監督していればよい場合が多く、実は手先が不器用でもやり過ごすことが出来てしまう点なのですが、配属されてからは当然直営で設備保守、修理にあたることも多く、手が動くことは重要です。「頭脳労働でない」というと肉体労働を想像しますが、それは重いものを持つとかそういうことではなく、手が器用に動かせることは割と重要なのではないかと思います。結局、ブラックジャックのようにポン骨大学出でも、手先が器用ならば救命救急医になれるかも知れないし、東京大学理科三類出でも手先が不器用なら外科医になるのはつらいかも知れないのと同じです。
私は手先が器用ではなく、ケーブルはペンチで皮むきが出来ない(過去)し、下手すると蛍光灯安定器の交換や自動点滅器の交換も怪しいレベルです。はんだ付けは何度もやけどしました。これがつらい。私は運だけで本社勤務もやらせていただけたので、どちらかと言えば本社勤務の方があっていたように思います。
終身雇用向きである
第二に、終身雇用向きであることがあげられます。これは大企業に入ることのリスクとほぼ同義であるのですが、工業高校は就職向きではありますがその企業を辞めた場合には、ただの高卒が爆誕するのと同じです。新卒で入った会社を辞めるという選択を考えたとき、工業高校卒であることは足枷となります。辞めたら同じ学歴のままでは、大企業では面接すらたどり着けないでしょう。
私のように、「はじめから企業を退職することを頭の片隅において入社している」人間ならば、工業高校卒である意味はその企業に滑り込めたこと以外にほぼありません(もちろん企業は正社員で採用した以上、教育はしっかりしてくれます)。また、大企業は、仕事が細分化されており、その企業の規則自体が複雑であるために、その企業の規則に詳しいだけという人間が産まれる可能性が高く、汎用性がなく、転職や早期退職を検討するまで現実を見ることができない可能性が高いです。だからこそ、その身を守ろうとして窓際族が存在するのです。そして、循環論法的に大企業であるがために、別に替えがいくらでも存在し絶望します。
加えて、メリットで資格取得が出来る旨を記載しましたが、これは企業とは関係がなく個人の資格であるため、優秀な学生さんは学生時代に資格マニアみたいになってしまい、せっかく工業高校に通って安定企業に入ったのに、逆に終身雇用向きじゃない方向に進んでいく気がしてなりません。(辞めても資格である程度食っていけるからだと思います。) 私の卒業した高校は、「電気事業法の規定に基づく電気主任技術者認定校」であったため、卒業後の実務経験で資格取得ができる制度(詳細割愛)がありますが、その申請のためには経歴証明が必要で、要は「この会社、辞めないよね?」という脅しを潜り抜ける必要があるのも、この辺りの事情があるのでしょう。
資格取得は普通高校の方が有利
第三に、工業高校で学ぶようなことや資格は、普通科を出て大学に進学してからでも、大学受験を乗り越えた人間であれば、普通に取得できる、しかも趣味として取得できる可能性が高いと思います。日本においては、大学受験を乗り越え希望の大学に行くことより難しい資格はそんなに多くないと思います。しかも、大卒じゃないと受けられない資格も多数存在します。まして、大学受験の勉強をしている高校生はこんなこと勉強してなんの役に立つのかと思うかも知れませんが、全体論として見たときに工業高校で数学Ⅲを学ばない人間より、大学受験で数学Ⅲを勉強した人間のほうが、私が卒業した電気科科目での資格では合格する可能性が高いとすら思います。複素数平面も複素数も知らずに、電験を受験する工業高校生が逆にすごいのだが。笑 蛙のまま海に出て、井の中に帰ってくるのすごすぎるだろJK。ただし、設備面では先述したとおり工業高校の設備を使える可能性が高いので、技能がからむ試験では一般化できないかも知れません。
しかし、こと電気分野においてはベクトル、三角関数、複素数、複素数平面はかなり有用であり、密接であり、それらを学ばずに実務だけを身につけることに疑問が湧いてしまう私のようなタイプは工業高校に行くことをはっきりおすすめしません。
一般教養の不足
第四に、上記第三のデメリットとも絡みますが、一般教養の不足は否めません。私の高校では、例えば数学では、指数対数はやらない、数列やらない、確率やらない(記憶がない)、整数やらない、極限やらない、微分積分やらない、三角関数怪しい、複素数やらない、複素数平面やらない、無限級数やらない、統計やらない、体積計算できない、行列なにそれ美味しいの?置換積分?え、なにそれ?というレベルで、かと言って選択学科の電気は詳しいんでしょ?と問われた場合、完全に否定します。高校物理で習う電磁気ともまた違って、工業高校は具体的過ぎて、電動機の構造がどうとか、ブラシレスモーターがこうなってるとか、電線の構造はこうなってるとか、そういうイメージで、さて回路の抵抗を計算しましょうと言われると手が止まる、キルヒホッフと言えばそんな人いたなぁと懐かしむ人が多いのが実情ではないかと思われ、下手すると普通科の物理を「普通に」学んでる子のほうが電気に詳しいと思います。
相撲で言えば、工業高校生は張り手の方法は知っているが、なぜ相手が後ろにのけぞるのか力学的側面は知らないといったイメージです。
普通科で数学の教科書を読んでいれば、三角関数が実は円関数であることや、微分とはなにか、ということを大学数学には及ばないにしろある程度抽象的に理解するでしょうが、工業高校ではいきなりオシロスコープで交流の波形を見せられたりするのです。笑
専門科目の教育が具体的過ぎて、僕らは何もしていないのにおびただしい知識の欠陥を生ぜしめることになるのです。
これで大企業に入ってみると、下請け企業様の方が一般教養に長け仕事ができる場合が多く、それをまざまざと実感すると、終身雇用でいいんだろうか?と疑問を持ち始めてしまう可能性すらあります。
ただし、これも工業高校卒の人間が大企業に滑り込めさえすれば、その中でいただいた潤沢なお給料で勉強しなおすことが可能であるともいえます。それが一番賢いのかも知れないと思ったときには私はすでに退職していたのですが。笑
ただし、勘違いしてはいけないのは工業高校のカリキュラムに指導がないだけで、それら数学や一般教養が理解出来ないわけではない点です。つまり、詰め込み教育が必須だと思えば、教えれば普通科の高校生と同じように理解する子とそうでない子に分かれるでしょう。要するに、馬鹿と決めつけて教えないならそれは制度が悪いのであって本人が悪いかはまた別の話です。
女子が少ない
第五に、女子が少ないこと、これがあげられます。これは工業高校に通っている時点でのデメリットになります。ただ、上記メリットでも記載した通り、男子が多いからいじめが少ないのかも知れないし、その関係は複雑だと思います。
高校時代に共学で恋愛経験を積むことが、後の人生にプラスになると考えるのであれば、工業高校は避けるべきでしょう。工業高校に対して、商業高校はあまり注目されないかも知れませんが、女子が多く、企業には必ず経理が必要となるでしょうから、簿記も資格取得できるかも知れない(商業高校の内情は詳しくありません)点で、商業高校も検討してみてはくらいに思っています。私は、幸い他校の女子とお付き合いすることができたので、性格は捻くれたままですが、恋愛経験としてはいいものだったと思います。実は、地方出身者は実感があるかも知れませんが、高校時代に付き合っていた人と結婚して子供を育てている友達は多く、少子化が叫ばれている昨今、意外に馬鹿にできないポイントなのかなとか考えています。
進路決定時期が中学生であることを他人は認識しない
さて、メリットデメリットを記載しましたが、私が個人的に考える最大の問題は、工業高校から就職というルートは、それ自体はネット掲示板等で議論されますが、中学生段階での進路選択が要求される、という点が見過ごされているということです。
ここに大きな無理が生じるわけですが、上記デメリットのように、工業高校卒から大企業に滑り込めたとして、人生の終わり近くまでその企業で過ごす覚悟が、自分に果たしてあるのかどうか、工業高校内の学科はどれにするか、中学生段階で決められるわけないだろと私は思っています。よって、私なりの結論は簡単で、終身雇用を目指す、かつ、大学に行けないことが明確ならば工業高校卒はアリ(学科はよく考えた方がいい)、後に早期退職や転職、大学受験(私の場合はこれ)を目指すならば、後悔の渦に巻き込まれるから工業高校に通うのはやめとけ、おすすめしないというものです。ただ、「大学に通わせられないなら子供産むな」とかいうと少子化が加速するだけなので、その未来を見通すことは無理だと諦めて折り合いをつけるしかない。つらいですね人生。
工業高校から大企業路線が達成できるのは成績優秀者のみは嘘だと思う話
さて、最後に参考までに、実感、感覚として感じたことですが、2ch/5chでよく言われる「工業高校卒から大企業に入れるのは成績トップの人間だけ」というのがほぼ嘘ではないかと思う話を記載します。
私自身はいい企業に就職したわけですが、これは大企業と言っていいと仮定すると、私の成績はクラス内で下の方であり、成績が優秀とは口が裂けても言えません。
最後まで英語の苦手が克服できず、部活動ばかりに力を入れていたため、成績は良くありませんでした。雪の日には自転車が前に進まず、途中でバックレそうになって遅刻することもかなりありました。
一人一社制だが一対一対応ではない
これは意外に単純な話で、就職に関しては当該高校の立地が、影響しているのではないかと個人的には思います。僻地にあればあるほど、都内に上京しようという意思のあるクラスメイトが少なくなり、2011年当時でも上京したクラスメイトは私以外皆無だったと記憶しております。(原発が爆発した県出身です。)よって、求人数に対してのクラスメイトの人数の比と、立地が影響している気がしてなりません。
すなわち、学校内で希望企業にバッティングがなければ、18歳の高校生なんて面接してもみんな一緒な気がしますし、内定とれる気がしてなりません。というか冷静に、学校内での成績云々よりも、その企業が課した試験の成績や、特別な検査(鉄道で言えばクレペリン検査の結果が異常だと入れないと思う)の結果の方が重要なんじゃないかと考えます。
学校内の成績で戦うのは、おそらく、東大の進学振り分けみたいな仕組みで、例えば1名しか採用しないと言っている企業に対し2名の進路希望があったとき、先生がどちらの生徒を企業に申し込むか検討する段階で成績がみられるだけの気がします。よって、企業に挑戦できるまでは成績は重要かも知れませんが、私のように例えば福島県から都内の企業を進路希望とする場合には、学内コンペティターが誰もいないので、あとは学内成績が関係するかは微妙だと思います。簡単にいうと企業も学校推薦の枠を設けて求人票を出してくれるため、その学校内の推薦さえ取れれば、滑り込めるという話です。
さらに、求人も学校推薦として3人出してください、という求人票があったとき、専門科が違うことがあります。わかりやすくいうと、電気科からは1人しか取らないけど、その他機械科からは1 人、化学工学科からも1人欲しい、といった求人です。これはクラス内では応募がバッティングすればコンペティターになりますが、学校内の同級生としては3人が大企業に一度に吸収される可能性がある、ということです。実際に私の入った鉄道会社ではそのような求人の出し方をしていたように記憶しております。
※結局上京思考がある人が少なかったので、入社したのも就職試験を受けたのも私だけでした。
よって、大企業に入社できるのは工業高校のトップ層のみ、という言説は解像度が低い可能性があります。私のクラスは電気科で40人規模でしたが、成績上位3人が電力会社に就職したというのは事実です。しかし、それ以外の半数以上は名のある企業に吸収されたのもまた事実です。
おわりに 私個人の後悔
ここまで散々工業高校をディスってしまいましたが、「お前は勉強したら大学に行けたのか?」・「仮に家庭環境が良かったら進学校に入れたのか?」と問われると答えに困るので、これからまた勉強して大学受験するしかありません。ちなみに私は26歳で早期退職しましたが、源泉徴収票を見ると年収がちょうど500万くらいだったようです。高卒にしては恵まれている方だったと後に気づきました。株式投資していれば今頃もう少し楽に好きな勉強を進められていたのかも知れません。
工業高校卒でもトップ層ではなくても大企業に就職できることは上述しました。しかし、それゆえに大卒・院卒者と肩を並べて仕事をする機会も多いです。私自身は結局学歴コンプレックスに陥ってしまいましたが、さらに後悔したのは、新卒で入社した会社を軽率に早期退職してしまったことです。いずれ辞めるから…と生き急いでしまったのですが、この時私は、学歴コンプレックスと電気科卒という経歴を一緒考えてしまっていて、電気の仕事も嫌いなのだと自分自身に言い聞かせていました。
現在、保身のために電験三種の勉強をしておりますが、ようやく電気分野と学歴コンプの切り分けができて、電磁気分野が意外に好きだし、保守やメンテナンス、設計も好きだったのだと気づくことができました。したがって、大企業に属したまま虎視眈々と学歴コンプだけを解消する方向に動けばよかったのかもな、と少しの後悔と反省があります。
勉強の楽しさに大人になってから気がついて学業に再挑戦する方、工業高校という進路に迷いを感じている方のなにかしらの参考になりましたら幸いです。
ここまで駄文をお読みいただき、ありがとうございました。





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